2025/06/01 16:35

こんにちは。

スウェーデンよりガラス製品が数点入荷いたしました。

日の差し込む窓辺で煌めくガラスは、まるで舞台の上でスポットライトを浴びる主役のような存在ですよね。その美しさに目を奪われます✨

今回、Vicke Lindstrandの作品が多数入荷になりましたので、この機会にVicke Lindstrandについて少しご紹介したいと思います。




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Vicke Lindstrand / ヴィッケ・リンドストランド(1904–1983) はスウェーデンのモダンアートガラスデザインの先駆者で、OrreforsやKostaで活躍しました。

北欧のモダンアートガラスの発展において、極めて重要な役割を果たした人物です。



Vicke Lindstrandが活躍し始めたのは1930年代頃。

それより少し前の1900年代頃は、いわゆるアール・ヌーヴォー時代で「クラシカルで伝統的な美の時代」でした。アール・ヌーヴォーでは、吹きガラスに彫刻や金彩装飾を施すなど、技術的な精巧さや装飾性の高さが評価されました。Emile Galle / エミール・ガレやThe Daum Brothers / ドーム兄弟などが活躍した時代です。 

Bottle with Orchid Design in Marquetry / Emile Galle / 東京富士美術館


その後1920年代に入るとモダンアートの前進となる「直線的・幾何学的なスタイル」を取り入れたアール・デコ様式へと移行していきました。

The Daum Brothers / ドーム兄弟が、アール・ヌーヴォーからアール・デコスタイルの変化に大きく貢献し、Rene Lalique / ルネ・ラリックなどが活躍した時代です。

Coquille / Rene Lalique / 愛知県美術館


その次の世代として、ガラスアートの美の捉え方に転機をもたらしたのがVicke Lindstrandです。

今までの装飾的なアートから無駄を省いた自由造形に挑みました。


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Vicke Lindstrandが活躍した同じ頃、建築業界では、装飾を極力抑えたシンプルなデザインが特徴的な、ル・コルビュジエなどのモダニズム建築が広がりを見せていました。

その潮流の中で、Lindstrandのガラス作品は自然と調和し、モダニズム建築の空間に静かな彩りを添えました。


このような時代背景のもと、無駄を省いたモダンアートの動きは加速し、北欧ガラス工芸の世界でもその思想は次代へと受け継がれていきます。

Tapio Wirkkala / タピオ・ウィルッカラ や Kaj Franck / カイ・フランク、Oiva Toikka / オイヴァ・トイッカなど、名だたる作家たちの表現にその影響を見て取ることができます。

今も尚、輝き続けるモダンアートガラスデザインの幕開けを、Vicke Lindstrandの作品を通じてぜひご体感ください😊